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2017年アカデミー賞を見ながら③

追悼コーナーは毎回号泣なんですが、今年もでした。キャリー・フィッシャーの May the forth be with you にはもうもう…。え、ジョンハートもだったっけ(T_T)

その後のベン・アフレックとマット・デイモンの安定した掛け合いで、配置が絶妙でした。

そして監督賞や主演女優賞などメインの賞が怒涛のように押し寄せると、皮肉や政治的発言は減りました。でもラストの作品賞のプレゼンター、ウォーレン・ベイティはさすがの貫禄でさらっと、

「政治においても芸術においても目指すことは同じ。それは真実を明らかにすること。これらの候補作品は楽しみと感動を与えてくれるだけでなく、社会のなかでで多様性が増しているということを教えてくれます。そして多様性と自由が大事だということを教えてくれます」

と、ハリウッドの声を代弁したようなスピーチでした。

しかし、まさかの誤発表。「ラ・ラ・ランド」監督賞も最年少で今年はすげーと思っていたら「ムーンライト」。受賞スピーチの最中に訂正という…まあ滅多に見られないものを見せてもらったというのが、ゲッスいいちテレビ視聴者の感想ですが…

間違って主演女優賞のカードがプレゼンタ—の「ボニーとクライド」に渡されていたのが真相だったそうで、生きてるといろんなことがあるものです。

全体の感想を言えば、映画の世界はどんどん「実話もの」が増えていて、実話をそのまま伝えようとするというジャーナリズムの世界と映画の世界はどんどん近づいていて、だから政治的にならざるを得ません。もちろんオリジナルのストーリーを作っていたころからも、アーチストやクリエイターの創作は自由であるべきという信念はゆるぎないもので、マッカーシー旋風で国外退去になったフレッド・ジンネマンやチャップリンも国外から変わらぬ創作活動を続けて世界に自由であることの大切さを示し続けてきました。歴史と時代、その両方がぽっと出の政治家なんかよりよほどハリウッドの映画人たちのほうが政治に対する見識が深いという状況を作っているのでしょう。

今のアメリカが危機的状況にあることは変わりませんが、人権がないがしろにされていることを声に出していうことさえ圧殺され、変わろうとしないショー・ビズ界と、「政府が右と言ったら左とはいえない」と平気でのたまうマス・メディアのある「民主主義国日本」が母国の私には、確固たる意志をもったハリウッドのあるアメリカがうらやましかったです。

by wonderful_m | 2017-02-27 18:41 | 映画ノート